ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)に対して、差止請求訴訟を提起しました。
2019.10.17(No.10000957)
 当団体は、合同会社ユー・エス・ジェイの運営するユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)の「WEBチケットストア利用規約」の契約条項の削除などを求め、2019年10月16日、大阪地裁に差止請求訴訟を提起しました。

 現状では、消費者がUSJのチケットを誤購入した場合や、購入後の事情変更(例えば、病気や怪我、購入後スケジュールに支障が生じた場合など)により当日の利用ができなくなった場合に、規約上、消費者はチケット購入のために支払った費用を取り戻すことができません。今回の訴訟はこのような現状を改めることを目的としています。
 USJのチケットは多種多様であり、注意深く購入手続きを行ったとしても、購入に慣れていない消費者であれば、誤購入を避けられない場合があります。また、USJは、老若男女問わず、遠方の消費者も含めて多くの利用者が訪れる日本有数の人気テーマパークであり、そのため、病気や怪我、スケジュールの変更といった購入後の事情変更がやむを得ず生じる場合が多々あります。

差止対象とした同社規約
【1】本件利用規約第8条第1項(以下、「キャンセル不可条項」という。)
 「チケットの種別、理由の如何にかかわらず、購入後のキャンセルは一切できませ
 ん。但し、法令上の解除または無効事由等がお客様に認められる場合はこの限りで
 はありません。」
【2】本件利用規約第3条第1項(以下、「転売禁止条項」という。)
 「お客様が、第三者にチケットを転売したり、転売のために第三者に提供すること
 は,営利目的の有無にかかわらず、すべて禁止します。」(※)
 ※本件条項第3条第1項の「また、営利の目的として第三者にチケットを無償で譲渡
 することも、禁止します。」の部分は差止対象としない。


 実際に、当団体の調査でも全国の消費生活センターには、キャンセル不可条項に関する苦情・被害相談が相当数寄せられています。
 KC’sとしては、やむを得ずチケットが不要となってしまった場合に、消費者がチケット購入のために要した費用を回収するための手段として、USJ側は消費者によるキャンセルを認めるべきであると考えています。
 また、転売についても、チケットが不要となってしまった場合の合理的かつ適切な費用回収手段として、当該チケットを必要とする他の消費者に対し、営利の目的ではない範囲で、定価等の適正価格で譲渡する途は認めるべきであると考えています。
上記の規約はキャンセルと転売をいずれも禁止した結果、一旦チケットを購入した消費者が費用を取り戻す機会を全面的に奪っており、消費者の利益を一方的に害するものです。今回の訴訟では、キャンセルと転売を共に禁止する条項について差止を求めています。
 なお、転売禁止条項の差止については、KC’sとしては、上記適正価格での譲渡を認めることを求める趣旨であって、不正転売の容認を求める目的は一切ないことを、念のため付言しておきます。
 USJは、日本を代表するテーマパークとして、日本全国はもちろん、世界各国の人々から愛される娯楽施設です。
 あらゆる消費者がUSJのチケット購入により経済的損失を受けることがないよう、本件各条項のような不当条項が改善されることを願って、提訴を行いました。