「外国株式の国内店頭取引」に関する各証券会社のホームページ上の表示に関する調査及び意見交換の結果について
2019.12.13(No.10000962)
 外国株式の国内店頭取引における価格表示においては、その購入対価の中に手数料相当分などのコストが含まれているにもかかわらず、証券会社のホームページを見ると、あたかもこれらのコストの負担がないかのような表示があり、不当景品類及び不当表示防止法のいわゆる有利誤認表示の規制に抵触するおそれがあること、手数料相当分などのコストについて具体的な表示がないため、他の証券会社や他の商品・他の取引方法との比較ができない、などの問題があったことから、当団体は、各証券会社に対して、この点に関してお問い合わせ・申入れ・要請の活動を行いました。
 その後、全社において、一定の改善が図られましたので、ここに報告します。


(経過)
1.2017年8月、外国株式の国内店頭取引を扱っている各証券会社のホームページ上の表記を調べた
 ところ、以下の2種類の問題があることがわかりました。

(1)外国株式の国内店頭取引価格に手数料相当額分が含まれていることは表示されているものの、具体
 的に何%含まれているかが表示されていないもの。

  →以下の22社(括弧内は現在の社名。以下調査当時の社名で記載。以下同じ。)
   例:「当社提示価格に必要なコストが含まれているため別途手数料はかかりません。」
  あかつき証券株式会社、
  飯塚中川証券株式会社(なかがわ証券アドバイザー株式会社)、
  株式会社SBI証券、岡三証券株式会社、おきぎん証券株式会社、
  静岡東海証券株式会社、株式会社証券ジャパン、株式会社しん証券さかもと、
  大和証券株式会社、髙木証券株式会社(東海東京証券株式会社)、
  ちばぎん証券株式会社、奈良証券株式会社(南都まほろば証券株式会社)、
  西日本シティTT証券株式会社、日産証券株式会社、浜銀TT証券株式会社、
  光証券株式会社、フィリップ証券株式会社、ほくほくTT証券株式会社、
  三木証券株式会社、みずほ証券株式会社、水戸証券株式会社、
  リテラ・クレア証券株式会社
  ※後に野村證券株式会社のホームページの記載にも同様の表示が見つかりました。

(2)外国株式の国内店頭取引価格に手数料相当額分が含まれていること自体がそもそも表示されていな
 いもの。

 →以下の6社
  例:「国内店頭取引では、購入対価のみのお支払い、または、売却対価のみのお受取りとなりますの
   で、別途の手数料は必要ありません。」
  岩井コスモ証券株式会社、SMBC日興証券株式会社、
  SMBCフレンド証券株式会社、スターツ証券株式会社、
  大熊本証券株式会社、三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社

2.当団体は、2017年12月1日に上記(1)(2)の各証券会社(28社)に対し、「お問い合わ
 せ」を、また、2018年6月21日に、一部の証券会社に「再お問い合わせ」を送付しました。
 「お問い合わせ」を送付した28社
  あかつき証券株式会社、
  飯塚中川証券株式会社(なかがわ証券アドバイザー株式会社)、
  岩井コスモ証券株式会社、SMBC日興証券株式会社、
  SMBCフレンド証券株式会社、株式会社SBI証券、岡三証券株式会社、
  おきぎん証券株式会社、静岡東海証券株式会社、株式会社証券ジャパン、
  株式会社しん証券さかもと、スターツ証券株式会社、大熊本証券株式会社、
  大和証券株式会社、髙木証券株式会社(東海東京証券株式会社)、
  ちばぎん証券株式会社、奈良証券株式会社(南都まほろば証券株式会社)、
  西日本シティTT証券株式会社、日産証券株式会社、浜銀TT証券株式会社、
  光証券株式会社、フィリップ証券株式会社、ほくほくTT証券株式会社、
  三木証券株式会社、みずほ証券株式会社、
  三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社、水戸証券株式会社、
  リテラ・クレア証券株式会社
  ※野村證券株式会社には、2018年6月21日に「お問い合わせ」を送付しました。

3.当団体は、2018年9月4日から2019年3月11日にかけて、「お問い合わせ」、「再お問
 い合わせ」を送付したものの改善が図られなかったみずほ証券株式会社、岡三証券株式会社、株式会社
 証券ジャパン、おきぎん証券に対し、「要請書」を送付しました。
  このほか、回答のなかったスターツ証券株式会社に対し、2018年9月4日に「申入書」を送付し
 ました(「申入書」では、景表法上の有利誤認に該当する可能性を示しました。)

4.2019年4月1日までに、当団体が「お問い合わせ」「要請書」「申入書」を送った証券会社のう
 ち、合併により消滅したSMBCフレンド証券株式会社及び「外国株式の国内店頭取引を扱っていな
 い」旨回答した3社(飯塚中川証券株式会社、株式会社SBI証券、フィリップ証券株式会社)を除
 く25社のホームページ上の表示は、全て、外国株式の国内店頭取引価格における手数料相当額分が何
 %含まれているかが表示されるようになりました。
 例:「お客さまに提示する仕切り価格は、前日の現地金融商品取引所終値を仲値とし、仲値との差がそ
 れぞれ原則として2.5%以内(手数料相当額)とな るように設定した価格とさせていただきます。」

5.当団体は、証券会社各社のホームページの記載が改善されたことを受け、お問い合わせを送付した野
 村證券株式会社を含む29社から、合併により消滅したSMBCフレンド証券株式会社を除く28社に
 対し、2019年11月11日に「ご連絡(活動終了のご通知)」を送付しました。

(まとめ)
 当団体は、金融庁の出した「顧客本位の業務運営に関する原則 平成29年3月30日【手数料等の明
確化】(原則4.金融事業者は、名目を問わず、顧客が負担する手数料その他の費用の詳細を、当該手数
料等がどのようなサービスの対価に関するものかを含め、顧客が理解できるよう情報提供すべきである)
」の観点から、各証券会社に対するお問い合わせ、要請、申入れの活動を行ったものです。
 株式の取引価格に関する証券会社のホームページ上の表示は、消費者が商品・サービスを選択する際に
参考とされるべき重要な情報であり、今回、当団体の活動によって、消費者に誤認を与えかねない表示が
改善されたことは評価できます。
 今後とも、証券会社各社には、消費者に誤認を与えない表示に努めていただきたいと思います。
                                         
                                             以上
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