2020年度双方向コミュニケーション研究会第1回勉強会を開催しました
2020.09.25(No.10001028)

講師:新川達郎教授
 2020年9月15日(火)13時30分より、双方向コミュニケーション研究会第1回勉強会を外部講師を招いてWeb(Zoom)にて開催し、32名が参加しました。消費者市民社会の実現には消費者と事業者の信頼関係の構築が不可欠との問題意識に基づき、KC’sは2010年より「双方向コミュニケーション研究会(以下「研究会」といいます。)」を立ち上げ、活動してきました。2020年度は新型コロナ感染防止のため、消費者と事業者が直接集まって論議を行う研究会は休会とし、双方向コミュニケーションの視野を広げるために、外部講師を招いて勉強会を2回実施することとしました。
 
 第1回目は新川達郎 同志社大学大学院総合政策科学研究科教授(以下「新川教授」といいます。)をお招きし、「消費者行政のこれまでとこれから:地方消費者行政専門調査会報告から考える」と題し講演を行っていただきました。新川教授は現在、内閣府消費者委員会の委員であり、地方消費者行政専門調査会の座長も務められました。2020年8月28日に、同専門調査会の、2040年を展望した報告書が公表されており、その内容を中心にお話いただきました。
 
 講演では今後の消費者行政の前提として、人口が減少し、低成長社会から縮退社会となり、消費者行政予算の縮小や行政職員の減少が見込まれる、との環境変化が提示されました。その中で今後の地方消費者行政には「国と地方の協働」「公共私の協働」が求められる。具体的には市町村を超える広域行政による対応、国の役割整理(国と地方の協働)、行政と消費者団体、専門家による「消費者行政コーディネートセンター」、学びと啓発のネットワークである「消費生活オンラインスクール」などの設立が望まれる(公共私の協働)。そして、消費者行政の協働に当たっては、消費者に最も近い消費者団体が結び目とならざるを得ないのではないか、との提起がありました。
 
 この講演を受けて、Zoomのブレイクアウトルームの機能を使い、6人ずつの集団に分かれてグループ論議を20分間行いました。終了後各グループでの論議の内容を報告しあいました。その後10分間の休憩を経て、グループ論議の報告を受けて新川教授に後半の講演をいただきました。
消費者、行政、事業者各々の課題を協働によって乗り越えていく、その先に今後の消費者行政の在り方があるのではないか、との提起があり、講演が終了しました。
 
 講演に対する質疑応答では「消費者団体に消費者行政の結び目の役割を、と言うのは正直重たい。行政の役割と消費者団体の役割の分担はどうあるべきか」「消費者と直接対応する市町村の果たすべき役割は?」「事業者に求められる役割は?」など各々の立場から質問がありました。最後に研究会の片山座長から挨拶があり、第一回勉強会は終了しました。