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問題となった契約条項は、①賃料3か月分以上の滞納があったときは、フォーシーズが、無催告にて、原賃貸借契約を解除できるとする13条1項前段、②賃料等の支払を2か月以上怠るなど所定の4要件を満たすときは、フォーシーズが、建物の明渡しがあったものとみなすことができるとする18条2項2号の2つです。
①13条1項前段の趣旨について、原審大阪高裁判決が、賃料等の支払の遅滞を理由に原契約を解除するにあたり催告をしなくてもあながち不合理とは認められないような事情が存する場合に、無催告で解除権を行使することを定めた条項であると解したの対し、最高裁は、文言上はそのような限定を加えておらず、消費者契約法12条3項に基づく差止請求において、原判決のような限定解釈をした場合には、解釈について疑義の生ずる不明確な条項が有効なものとして引き続き使用され、かえって消費者の利益を損なうおそれがあり相当でないと判断しました。
その上で、原契約の当事者でもないフォーシーズがその一存で何らの限定なく原契約につき無催告で解除権を行使することができるとするものであるから、賃借人が重大な不利益を被るおそれがあるとして、消費者契約法10条に該当すると判断しました。
また、②18条2項2号の趣旨について、原判決が、所定の4要件を満たすことにより、賃借人が建物の使用を終了してその占有権が消滅しているものと認められる場合に、フォーシーズが、建物の明渡しがあったものとみなし、原契約を終了させる権限を付与した趣旨であると解したのに対し、最高裁は、原契約が終了している場合に限定して適用される条項であることを示す文言はないなどとして、原契約が終了していない場合でも、フォーシーズに建物の明渡しがあったものとみなすことができる旨を定めた条項であると判断しました。
その上で、18条2項2号に基づいて建物の明渡しがあったものとみなされたときには、賃借人は、原契約の当事者でもないフォーシーズの一存で、本件建物に対する使用収益権が一方的に制限されることになる上、建物の明渡義務を負っていないにもかかわらず、法定の手続によることなく明渡しが実現されたのと同様の状態に置かれ、著しく不当であるなどとして、消費者契約法10条に該当すると判断しました。
最高裁の判断は、消費者団体訴訟の制度趣旨に則したものであって、きわめて妥当であり、フォーシーズのみならず、他の家賃債務保証業者においても、保証委託契約の不当な条項の改善を迫る内容になっており、家賃債務保証業のあり方を見直すことにつながるものといえます。