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現行保険法における「責任保険契約」の問題点への適切な対処を求め、総務省・国税庁・消費者庁・内閣府消費者委員会へ、2016年8月24日付「要望書」を送付しました。

 保険契約の中に損害賠償責任保険という類型の保険があり、現行保険法においては「責任保険契約」として「損害保険契約のうち、被保険者が損害賠償の責任を負うことによって生ずることのある損害をてん補するもの」と定義されています(保険法17条2項括弧書)。保険法上、この保険契約の保険金は被害者が他の債権者に優先して受領できるよう規定されています(保険法22条1項の特別の先取特権)。ところが、被保険者(加害者)が国税や、地方税を未納していた場合には、上記の特別の先取特権に対して、国税及び地方税が劣後する旨の規定がないため、国税及び地方税が優先することとなる可能性があります。 上記の問題意識から、税務署及び年金事務所にアンケートを行ったところ、国税庁からは、文書回答は行わないものの保険法22条3項の差押禁止を根拠として、滞納処分もしくは交付要求手続は行っていないとの電話回答がありました。しかし葛飾年金事務所からは、事例が存在しないため実例がないが、存在すれば滞納処分もしくは交付要求手続を行う旨の回答がありました。

本年10月1日より、いわゆる消費者裁判手続特例法が施行され、責任保険からの回収が可能な状況に至った際、消費者保護の意識の欠けた脆弱な事業者の租税や社会保険料の滞納によって、それが妨げられるようなことがあってはならないとして、以下の立法措置を各省庁に求めました。

【要請事項】
国税徴収法及び地方税法に保険法22条1項に基づく保険給付請求権に対する先取特権が国税及び地方税に優先する旨を明確に規定する法改正を要望する。

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