皆様新年明けましておめでとうございます。旧年中は、多くの皆様から当団体に格別のご協力を賜りましたことに深い感謝を申し上げます。
当団体は、昨年4月5日に大阪地裁に対して、創立以来初となる被害回復訴訟を提起しました。株式会社スターリーナイトカンパニーに対し、中止となったイベントのチケット代金の返金を求めた訴訟です。同社はチケット購入者に対し、チケット規約を基に、返金には応じられないとしてきました。当団体は同社に対してお問合せや、申入活動を再三にわたり行いましたが、同社は当団体に対し、一切回答がなかったことから、特定適格消費者団体として、「共通義務確認訴訟」を提起しました。
さらに同年8月29日には脱毛サロンを運営する株式会社ラドルチェに対しても契約代金の返金を求める共通義務確認訴訟を提起しました。同社はエステの施術を回数無制限で受けられるアフターサービスを行ってきましたが、2022年1月頃、利用者の同意を得ないまま、セルフによる施術に一方的な変更を行いました。このことからエステの契約代金は不当利得であるとして、返還を求めています。
適格消費者団体の活動としては昨年7月21日、大阪を代表するテーマパーク、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンを運営する合同会社ユー・エス・ジェイの「WEBチケットストア利用規約」の契約条項の削除など求めた差止請求訴訟において、残念ながら大阪地裁は当団体の請求を棄却しました。8月3日に大阪高裁に対して地裁判決を不服として控訴を行いました。
このほか、裁判外での活動として、1回限りと誤認してしまうお試し定期購入や結婚式場のキャンセル料、脱毛サロンの契約期間や解約、洗口液のNo.1表示などの事案について事業者に対して交渉を行い、一定改善が行われました。
また各種セミナーや双方向コミュニケーション研究会により、消費者教育や、事業者と消費者との信頼の再構築を目指す活動にも力を入れてきました。
さらに当団体は昨年7月をもって、「紺綬褒章」公益団体に認定され、10月には「第6回津谷裕貴・消費者法学術実践賞」を受賞することができました。当団体の活動が社会的にも認められたことに心より感謝申し上げます。
本年も、消費者被害の防止のための差止請求訴訟に加え、被害回復のための共通義務確認訴訟や着手中の事案につき、着実な事業執行を進めてまいります。皆様のご支援・ご協力を改めてお願い申し上げます。
適格消費者団体・特定適格消費者団体
特定非営利活動法人
消費者支援機構関西(略称:KC’s)
理事長(代表理事) 西島 秀向