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合同会社ユー・エス・ジェイに対する差止請求訴訟に係る大阪高等裁判所2024年12月19日判決について(請求棄却)

 合同会社ユー・エス・ジェイに対する消費者契約法に基づく不当条項使用差止請求訴訟事件について、2024年12月19日、大阪高等裁判所にて判決言渡しがありました。

 裁判所は当団体の請求を棄却しました。判決では、消費者契約法第10条に関し、一部、一審の示した解釈を変更したものの、当団体の主張を十分に認めるには至らず、当団体は高裁判決を不服として、2024年12月27日、大阪高等裁判所に上告状、上告受理申立書を提出しました。

1.経過

 合同会社ユー・エス・ジェイの運営するユニバーサル・スタジオ・ジャパン(以下「USJ」といいます。)の「WEBチケットストア利用規約」には、チケットのキャンセルを一切認めない「キャンセル不可条項」と転売を禁止する「転売禁止条項」の二つの条項があります。そのことにより、誤購入でチケットが不要となったり、アクシデント等で入園不可になったりした場合、購入者の代金の回収が不可能になるとして、消費者契約法第10条による規約の差止めを求め、2019年10月16日、大阪地裁に差止請求訴訟を提起しました。2023年7月21日に請求棄却の一審判決が言い渡され、その判決を不服として2023年8月3日大阪高等裁判所に控訴したものです。

2.当団体の見解

 転売禁止条項で「債権譲渡契約である」と認め、10条前段該当性を認めたことは10条違反の判断に至る前進として認めることができます。

 しかし、この判決は消費者の利益擁護という観点で、大きな問題をはらんでいると言わなければなりません。とりわけキャンセル不可条項に関し「無名契約に近いものであるとして10条前段該当が認められなかったことは、いわゆる悪質商法の多くも無名契約と判断されうるものであることから、救済に道を閉ざすことに直接つながる危険性があります。

 転売禁止条項が高額の転売を防ぐことで消費者の利益につながっているとして10条後段性が認められなかったことも、当日たまたま行けなくなったチケット購買者にすべての責任を押し付けるものであり、「転売禁止」を謳えばどんな権利制限も認められることにつながってしまいます。

※消費者契約法第10条

 消費者の不作為をもって当該消費者が新たな消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたものとみなす条項その他の法令中の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比して消費者の権利を制限し又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって、民法第1条第2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは、無効とする。

 前半の下線部に該当するかどうかを「10条前段該当性」、後半の下線部に該当するかどうかを「10条後段該当性」といいます。

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