MENU
当団体は、株式会社レオパレス21に対し、同社作成の「貸室の賃貸借契約書(賃貸システム)」の「第1章 部屋利用規則」記載の契約条項に関し、2007年10月2日付けでお問い合わせをし、株式会社レオパレス21から2007年10月15日付けで回答を受け、その後2008年2月1日付けで当団体から申入書を送付しました。2008年3月4日付けで、株式会社レオパレス21から当団体の指摘を含めて改訂された新約款(2007年12月21日以降の新規契約に使用)が送付され、さらに2008年3月26日付けで当団体の2008年2月1日付け申入書に対する回答書を受領しました。その後、2008年5月8日に当団体と株式会社レオパレス21との間で協議の場を持ち、株式会社レオパレス21から「部屋利用規則」記載の契約条項の一定の条項について、当団体の指摘を取り入れ改善をして2008年3月4日付け送付の新約款をさらに改めた契約条項を作成することが言明されました。 株式会社レオパレス21は、当団体からの改善の指摘に対して、新約款を作成し多くの条項の改善をはかっています。しかし、システム料金、基本清掃料、契約の際の違約金に関する点については、株式会社レオパレス21と当団体とは意見を異にする部分があります。これらに対する、株式会社レオパレス21の見解は、同社からの2008年12月18日付け「申入れの終了に対する回答書」にあるとおりです。当団体の見解は株式会社レオパレス21に対して送付した2008年9月10日付け「貴社の「部屋利用規則」の賃貸借契約条項について(申入れの終了)」記載の通りですが、以下に概要を記載します。
(1)システム料金について
株式会社レオパレス21の説明によっても、システム料金が何の対価かについて十分に納得はできず、システム料金の趣旨・性質はやはり不明確と言わざるをえません。
当団体としては、上記のように趣旨が明確でないシステム料金の徴収は廃止し、システム料金の対価とされているものは賃料に反映させるべきと考えており、株式会社レオパレス21には、なお、システム料金廃止に向けての検討を求めるものです。
(2)基本清掃料について
株式会社レオパレス21が指摘する最高裁判決は、特約の有効性について、合意があったかなかったかについて判断し、当該事例は契約内容となっていないとされたものです。消費者契約法制定前の契約について、消費者契約法には何ら触れることなく判断しています。合意があり契約内容となった条項が、さらにそれが消費者契約法10条にあたるかが議論されるべきです。株式会社レオパレス21において、基本清掃料は、最高裁2005年12月16日付け判決の通常損耗補修特約と同義ととらえています。賃借人が清掃して退去する場合もあります。金額は低いが、京都地裁2008年4月30日判決で、消費者契約法10条により無効とされた定額補修分担金と同じ性質を含んでいると考えられ、なお改訂を検討することを求めるものです。
(3)違約金について
契約後6ヶ月以内に解約した顧客は、1ヶ月前の告知の場合はシステム料金の不返還を含めて2ヶ月分の家賃相当額が違約金となり、1ヶ月以内の告知の場合は、これに日割りの違約金が付加されます(新約款14条2項)。契約後6ヶ月以降に解約した顧客は、1ヶ月前の告知の場合はシステム料金の不返還を含めて1ヶ月分の家賃相当額が違約金となり、1ヶ月以内の告知の場合は、これに日割りの違約金が付加されます(新約款14条2項)。そして、その違約金の損害の内容は主として空室損料と新賃借人獲得の諸経費であるとのことです。しかしながら、中途解約における株式会社レオパレス21の平均的損害額自体は明確ではありません。1ヶ月の予告期間以上にさらに損料が通常発生するかなど、定められた違約金の額が中途解約における平均的損害を超えないものであるかは検証されたわけではありません。
中途解約における平均的損害額の開示と、定められた違約金が平均的損害を超えていないことを検証し、改訂を検討することを求めるものです。
上記(1)から(3)と環境維持費に関する条項等については、当団体と意見を異にする部分がありますが、多くの条項について新約款を作成し改善をはかったことを評価し、総合的な検討の結果、意見を異にする部分についても、現時点では訴訟まで行うには当たらないと判断して、今回は申し入れを終了することにしました。なお、申し入れの終了によって、株式会社レオパレス21の約款を当団体が承認したものではありません。
当団体は、株式会社レオパレス21に対し、なお約款の改善を図ることを求めるとともに、株式会社レオパレス21の今後の契約条項の内容や勧誘対処を注視していきます。その結果や苦情その他の状況によって訴訟提起を含めて検討を再開することもありえることを付言します。