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「クレベリン」の販売元大幸薬品株式会社に対するKC’sのお問合せ活動について

  2022年1月20日と4月15日、消費者庁は大幸薬品株式会社(以下「同社」といいます。)が販売するクレベリン6製品(『クレベリン 置き型 60g』、『クレベリン 置き型 150g』、『クレベリン スプレー』、『クレベリン ミニスプレー』、『クレベリン スティック ペンタイプ』、『クレベリン スティック フックタイプ』)(以下「同商品」といいます。)について、景品表示法に基づく措置命令を発出し、2023年4月11日には、同商品に対する課徴金納付命令を発出しました。
 これは、同商品のパッケージ及び同社ウェブサイトにおいて、「空間に浮遊するウイルス・菌を除去」、「身の回りの空間のウイルス・菌を除去するスティックタイプです。」等を表示することにより、同商品を使用することで、同商品から発生する二酸化塩素の作用によって実生活空間に浮遊するウイルスや菌が除去されるかのように示す表示が優良誤認表示に当たるとの内容でした。
 その後、同社はウェブサイトに「景品表示法に基づく措置命令への対応について」を掲載して、措置命令が発出されるに至った理由とその後の対策、そして、課徴金納付命令を受けて、2023年7月31日付けで納付済であることの報告がありました。一方、今回の措置命令は同商品のパッケージの表示内容やTVCM・ウェブサイト等での表示内容が対象で、同商品の性能には問題がないとして、返品・返金を受け付けないとされました。

 KC’s(以下「当団体」といいます。)では、このような同社の対応について検討しました。同対応が、同社の上記表示広告により誤認して購入した消費者に対し、いかなる場合であっても返金しないとするものだとすれば、その対応の法的根拠には疑問があり、むしろ消費者契約法の取消しや錯誤取消しが可能な場合があり得ます。また、同社が直接消費者に販売していない場合においても、同社は消費者に対し、上記不当表示により不法行為責任を負う場合があり得ると考えられます。
 また、クレベリンと特定される相談事例情報を確認したことや課徴金の額から多数性も満たし、購入代金額の返金請求として支配性も満たしており、消費者裁判手続特例法による請求の要件を満たしうる事例であると考えられましたので、同社に対するお問合せ活動を開始することとしました。
 11月9日「お問合せ」文書を送付して、12月6日に「回答書」を受領しました。この「お問合せ」では、措置命令の対象となった表示内容を消費者が誤認して同商品を購入した場合は、消費者契約法第4条第1項1号により契約の取消しが可能と考えらますが、同社が返品・返金を受け付けない理由等を問合せました。その後の「回答書」では、表示が「一般消費者の方々に誤解されるおそれを生じさせたこと」を認めて謝罪がありましたが、「商品代金の返金及び景品表示法第10条に基づく返金措置」は予定していないとされました。
 そのため、当団体からの2024年2月28日付け「再お問合せ」では、同社のウェブサイトにて返品・返金を受け付けないと表明していることについては、同商品を購入した当該消費者に対して、一切の法的責任を負わない見解を表明しているのか、仮に一部でも消費者に対し法的責任を負う場合があり得るのであれば、先の記載は不適切であり、改善が必要ではないか。「製品の性能には問題ございません」との記載は、措置命令を受け入れたことと矛盾するのではないか、などを問合せました。しかし、それを受けての3月29日付け「回答書」では、当団体からの問合せ事項への直接的な回答がありませんでした。

 このように同社に対してお問合せ活動を行ってきましたが、当団体からの問合せに対して誠実な回答がありません。そのため、この間の同社と当団体とのやり取りの経過を公表するとともに、今後の対応についての検討を進めます。
 本件では、同社は行政当局に対しては措置命令等を受け入れています。
 また、報道によると、同社の株主が、同社会長に対し、同商品の生産・販売について善管注意義務違反があったとして、株主代表訴訟を提起しています。仮に同請求が認められると、会社、ひいては株主に発生した損害は填補されうることになります。
 その一方で、直接の被害者である消費者に対し被害回復を何も行っていません。以上のような状況は、明らかにバランスを欠くものであると当団体は考えます。

以上



(公開する文書)
・2023年11月9日付け「お問合せ」
・2023年12月5日付け 大幸薬品株式会社の「回答書」
・2024年2月28日付け「再お問合せ」
・2024年3月29日付け 大幸薬品株式会社の「回答書」

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